インドでは紀元前から1900年代まで、カースト制度という社会的身分制度によって職業を細分化していましたが、それに伴って差別される人もたくさんいました。1950年にカースト制度が形式上廃止されましたが、未だにカーストによって職業が分類がされていたり、カーストの低い人をパシリのようにつかう人もいるなど、カースト制度がインド社会に強く根付いているのが現状です。しかしIT産業の出現によって、インドのカースト社会が壊れつつあります。

インドのカースト制度について

カースト制度とは

カースト制度とはインドで生まれた社会的身分制度です。カーストはポルトガル語で血統を意味する「カスト」が語源となっています。カーストには4つの階級があり、上からバラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラに分けられています。

カースト制度の起源は、紀元前の1500年まで遡ります。アーリヤ人がインドに移住するときに、3つのカーストが作り、先住民のドラヴァタ人を下位のカーストにしたことがきっかけです。カースト制度によって職業は細分化され、下位のシュードラの人たちは皆が嫌がる肉体労働をさせられました。しかし19世紀後半から20世紀初頭にかけて、カースト制度撤廃運動が行われ、1950年にカースト制度は撤廃されました。

カースト撤廃を求める運動

カースト制度でわけられた階級

バラモン
最上級の階級であるバラモンの人の多くは、政治に関わる仕事をしていて、彼らが損をしないような法律をつくってきました。

クシャトリヤ
2番目の階級であるクシャトリヤの人の多くは、貴族・武人に関する仕事をしており、このクシャトリヤまでが上位階級と呼ばれています。

ヴァイシャ
3番目の階級であるヴァイシャの人の多くは、人が農耕・家畜を行う庶民的な仕事をしていました。都市に住むヴァイシャは年々増加し、商人になる人もたくさんいました。

シュードラ
1番下の階位であるシュードラは、ヴァイシャが担当していた、農耕・家畜の仕事を請け負うようになり、労働者の層と呼ばれていました。またそのシュードラの中でも、身分が分かれ、下の人は不可触民(アウトカースト)として、見ることも触れることも近づくことも許されない、カーストの外にいる人として差別を受けました。

現在もインド社会に残っているカーストの影響

1950年にカースト制度が廃止され、不可触民とされていた人たちも清掃業を中心に職業が与えられるようになりました。しかし長い間、人々の心に染み付いていたインドのカースト意識はそう簡単には消えません。今でも清掃業をしている元シュードラの人をパシリにする元上位階級の人がいたり、「俺はカーストが高いから偉い。」などと威張っている人も少数ですが一定数居ます。

人々の意識がなかなか変わらないだけではなく、職業についても未だにカーストの影響が残っています。もともとシュードラだった人は、今もほとんど肉体労働の仕事しか選択肢がありません。肉体労働をしている人は給料の6000~16000円程で家族を養わなければならないためとても貧しく、子どもたちは教育を受けられない人が多いです。そのため彼らの子どもたちもまた、肉体労働の職業しか選べない状況になり、結局カーストが廃止される前と状況はあまり変わりません。

インドの教育制度については次の記事を参考にして下さい。

参考記事
インドの教育制度について

インドの女性

IT産業の登場によってインドのカースト社会は変化している

カースト制度が廃止された後も職業選択やカースト意識は変わらないと先述しましたが、カースト制度が廃止された後に出来た職については、カースト制度の影響を一切受けません。その代表例がIT産業です。実際に私の知っているインドのIT企業で働いている人には、生活をかけて自力で猛勉強をし、IT企業に入った元シュードラの人も居ます。基本的に親の仕事を世襲しなければいけないインド人にとってはIT産業はループから抜け出す一筋の光でもあるのです。

また現在ITで働いている元上位階級の人たちは、カースト制度を本当の意味で撤廃したいと思っている人が多いです。そのためIT産業が今後どんどん発展して、社会的にも権力を持つようになれば、インド全体のカースト制度に対する意識を根本から変えることが出来るかもしれません。

インドのIT産業を支える3大企業については次の記事を参考にしてください。

参考記事
インドのIT産業を支える3大企業。TCS、WIPRO、INFOSYS


インドのIT産業

まとめ

インドで歴史上長い間、差別意識や職業選択に強く影響してきたカースト制度は、1950年に廃止された今でもインド社会に強く影響しています。インドのIT産業は、そんなカースト制度を本当の意味でなくすことができる産業の1つなのです。ITに携わる人はカースト制度についてネガティブなイメージを持っている人が多いため、IT産業の発展がインド社会のカースト意識をなくすことに大きく影響すると考えられています。


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