インドのスラム事情

インドと聞くと、日本でも印象が強いものは『スラム』ではないでしょうか。貧しい生活に、貧しい身なり、まさに貧困を可視化させたような存在がスラムのように感じられます。そもそも、スラムの定義とはいったい何でしょうか。国・地域によってその意味するところは多様であり、統一的な定義を与えることは不可能ではありますが、統計上の定義についてお話しします。

インドについていえば、統計上ではスラムの定義は二つ存在しています。国勢調査によると、スラムとは「300名あるいは60~70世帯が住む低質で過密な住宅からなる、不十分なインフラと衛生・水道施設の欠如によりたいてい不衛生な環境におかれている、コンパクトなエリア」となっています。

またスラムに関する詳細な調査を行うNational Sample Survey Organization (NSSO)によると「低質な住宅、たいてい一時的で過密しており、不十分な衛生・水道施設により不衛生な状況に置かれているコンパクトなエリア」と定義されています。

指定スラム、未指定スラム

インドには大きく2種類のスラムが存在しており、日本語訳にすると『指定スラム』『未指定スラム』となります。中央政府が1956年に制定したSlum Area  Actは、各州にクリアランスあるいは改善すべき住居をスラムと指定することを求めました。これを受けてほとんどの州で類似の州法が施行され、指定されたスラムの住民は法的に保護、適切な補償なしには強制的に退去されないことになりました。

住民の半数以上、600万人以上がスラムで暮らしているムンバイでは、彼らの政治的影響力は大きく、指定されたスラムに対しては政府はインフラ供給の義務が生じるものの、選挙期間が終われば口先だけの約束は往々にして反故にされる事実もあります。そのため、スラム居住地と貧困集積地、あるいはスラム住宅と非合法住宅は必ずしも一致していません。外から眺めただけではその劣悪な住宅地がスラムなのかどうかは分からないのです。

このように未だ生活環境が整わず、貧困=不幸のようなイメージも持たれるスラムではありますが、そこにいる子どもたちはいつも元気に遊んでいるのです。学校には行けてはいないのでしょう、家のお手伝いに汗水を流しているのでしょう。けれども彼らは無邪気な笑顔で生きているのです。

その事実は、いつも目の前にあります。


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